木の葉を描く

 仕事しながら町の中で色々な木の葉を拾ってきた。今度のグリーフケアで文章化するのにカードを使おうと思い、ふと手書きのカードを思い立った。はがきに透明水彩で木の葉を描いてゆく。色々な色合いの色々な種類の木の葉を描く。これを床いっぱいに撒いてご自分の気に入ったものを拾っていただき、それに言葉を書いてもらおうと思う。紙と鉛筆のワークだけれど、一味違うぬくもりのあるものにしたいから丁寧に一枚ずつ祈りながら描く。
 うらむことから自由になりますように。許せない気持ちから開放されますように。自分を責めることから解き放たれますように。悲しみがいつまでも心にあっても、それはいけないことではない。しっかりと悲しみを抱えて生きていけたなら、それはすばらしいことなのだ。亡くなった者との関わりは悲しみでしか確認できない思いがあるのだから。
 一枚の絵葉書にできることは小さなことだけれど、それでもやらないよりはよい。私もまた描くことであの子のことを思い浮かべている。思わず「なぜ彼はここに居ないのだろう」と言っている自分に気がつき、はっとする。
 私もまた、この一枚の葉に言葉を託して手紙を出したいのだ。あの子に届くものならば。