今日は土砂降り

修道院の白いジギタリス

 朝早く事務局に行って今日検査機関で検査を受けに行かなければならない方のために交通費を届けなければならなかった。土砂降りでミラーが良く見えなかったのと、事務局の前が工事中で車の進入路が複雑にコーンで区切られていたことと、駐車スペースがポールで区切られたことで今までの見当でバックで出ようとして、ポールにリアをぶつけた。急いでいたので自損だし、相手はポールだったのでそのまま走った。 銀行の駐車場で『神様お手柔らかに』と祈ってそっと見たらバンパーに微かにお印が付いていた。「おお有難う御座います」感謝した。この仕事を始めてから、私は幾度この事を繰り返しただろうか。スラムに入り込んで出られなくなったり。袋小路の急斜面をバックで降りたり、車に乗っているときの私ほど真剣に祈る人は居ないかもしれない。時々『神様、貴方がハンドルを握ってください』と叫ぶことがある。小さな傷は無数に付いたが今まで人に迷惑をかけないで来れたのはありがたいことだ。
 訪問先は一面の海になっていた。片足切断のその方はこの水の中をどうやって車椅子を動かしてタクシーに乗るのか・・・・日にちを変更してもらえないのだろうかと心配した。大丈夫。何とかなるものです。と言われて私のほうが胸が熱くなった。その方がいざって来て、ずぶぬれになった私にそっと折りたたんだタオルを手渡された。「ほろり」と来た。人間ていいものだなあとしみじみ・・・・
 午後になってその方が出かけられる頃一時雨が上がった。嬉しかった。