無性にやりたい事がある

 自分の時間が持てたらまた絵を描きたい。小さなスケッチブックを持って林に入って木の絵を描きたい。自分の気の向くまま足の向くままさまよって林の中で風の絵を描きたい。空の写真をとりながらそんなことを思っていた。私の人生は何度も夫の転勤でリセットボタンが押されてきた。家族の介護も看病も私から色んな事をもぎ取っていった。仕事も人間関係もまた新しくやり直しをして、やっと何とか形になるとまたリセット。その中で心に関わること、電話相談、GS、教会、エンカウンターなど場所を変えてもできることが残っていった。何とかその幹を枯らさないことで私は自分を貫いて生きてきたのだと思う。昨日面接をしていてクライエントに「今年は異動しませんのでまだカウンセリングをお引き受けできる」旨を伝えた。その時のクライエントのホッとした表情が印象的だった。この人にも私がいなくなって新しいカウンセラーを探さなければならないことは大きな不安だったのだと思った。私だけの問題ではなかったことに改めて気付く。申し訳ないと思う。
 私もまたこんな形で沢山の方達から支えられ愛情を受けて生かされているのだ。私が与えているだけではない。
 今日はこれから施設訪問だ。その後恐怖の歯医者さん。まな板の上の鯉になりきっておとなしくすればいいのに、あの音とグラインダーの回転に合わせて漂ってくる焦げっぽい匂いが苦痛のきわみだ。自分には分からない突然の痛みに弱いのだ。私って何時までもこの時点で幼い頃に戻ってしまう。