壊れる

人間の人格の殻が崩れてゆくことがある。私の関わっている方達は長い時間をかけてゆっくりと人格の輪郭がゆがみ崩れてくる。それは何十年と言う時間をかけてじっくりと静かにひたひたと押し寄せてくる崩れである。ある方は精神の病気で、ある人は加齢によって、ある人は人格のゆがみが酷くなって。それが余りにも静かに絶えることの無い変化なので本人はもとより回りの人も気が付かない。トラブルが増えてきて誰もが変だ変だと思い始める。本人は自分が何故こんなにややこしい生き方をしているのか分からない。分からないけれどいつの間にか回りには誰もいなくなってしまっている。
仕事として関わっているが、私たちが最後の砦でここで手に負えなくなったら入院するか、施設に行くか考えなければならなくなる。また一人私の手を明日はなれる方が居る。しばらくは在宅でその後はどうなるのだろうか。攻撃性が強くとうとう買い物依存から抜ける事が出来なかった。買いたい衝動を制限されることに怒りが爆発した。とっくに破産をして生活保護も受けていてもそれは収まらない。心の中は欲求不満で嵐のようだ。物に縛られることの怖さを見た思いがする。物やお金は愛情の代償ではあってもそのものにはなれない。むなしさだけが残ってゆく。