春なのに

このせわしない毎日は一体なんだ。カレンダーに四月の予定を書き出していて唖然とした。折角の春なのに一日か二日しか空白の日が無い。桜が咲いても見に行く時間も無いではないか。去年は夜桜を見に行った。今年も意地でも行ってやる。この街にこのメンバーで残れるのはもしかしたら今年一年だけかも知れないのだ。娘が私学に入ったことで高校生での転校は無理になった。初めて親分に単身赴任をしてもらわなければならないだろう。
 わたしが仕事を止めればいいのだが、今やっとわたしにしか出来ない分野が見えてきたところでまた止める事に躊躇する。今まで何度もこうして自分の仕事を切ってきた。その選択は間違っていなかったし、それ以外に選択の余地も無かったからコレはコレで最善の選択だったと思う。しかし今、わたしが本当に自分を生かして行ける仕事とめぐり合ったと思ってここに残ってそれが何か大きな分裂や負担を新たに生み出してゆくならばと言う不安もある。
 彼の健康上の不安、人間関係の不安、仕事が過重に覆いかぶさってゆくことの不安。彼は目を離すと仕事にのめりこんでいってしまうタイプ。家族が過労死から彼を守るブレーカーになっていた。それがなくなったら無限に仕事にのめってゆくだろうな。
 考えても仕方の無いことをモンヨリと考えるのは止めよう。仕方が無いと切り捨てられる不安もあるのだ。受け入れて最善は取れなくても次善は取れる。そう考えて今出来ることを精一杯やろう。