冷凍冷蔵庫

 中を皆空けて氷を溶かして拭き上げて掃除をした。ああさっぱりした。思ったほど不要品はなかった。ちょっと安心した。大根と玉こんにゃくとサトイモ手羽先をかつおとこぶだしでコトコト煮込んでいる。一つの場所に3年以上長く住んだことがない。あの子の生涯も2年3年刻みの人生だった。今でもあの子が『盛岡に帰りたい』と言った言葉を思い出す。思い出せばしてやりたくても出来なかったことの何と多いことか。そのときそのときを精一杯選びながら生きてきた。それでも悲しみは消えない
 冷凍庫の霜をふき取りながら色んな事を思い出している。アレさえなければ、コレさえなければと思うけれど・・・・この霜の様にみな消えてしまえばいいのにな。