後一回

家庭ごみの日があるのでその日を目指して家庭ごみを集めている。何とかすっきりしたいのだ。私の育った家は両親が若かった頃はものすごい潔癖症丸出しの家だった。ところが二人とも年老いててくると物を捨てなくなり屋根裏部屋も物置も何もかも物が捨てられずに置かれて、老夫婦が亡くなった後の片づけが大変だった。みな仕分けされ、分類され、スタッキングされていたが「何時か役に立つであろう」「ちょっと素敵なものたち」に私たちは押しつぶされた。日用品の備蓄はすさまじかった。ラップやビニール袋が腐って崩壊するという現実を目の当たりにした。そして二度と子供にあんな悲劇は味合わせたくないと硬く心に誓ったのだ。しかし今、我が家はかつての惨状を再現して余りある有様だ。

耳元であの日の怒り狂った私が叫ぶ。
「捨てるに勝る片付けはない」
よござんすか。
「捨てなさい」

よしゴミ袋を買ってくるぞ。ゴミを出す。来年此処に居る保証はないのだから。今の私のスケジュールで行けば、物があったら引越しは出来ない。休みが取れるとは限らないのだ。一日2時間。わき目も振らず片付けましょう。かつて必要があってヘルパーの資格を取った。その時家事援助で私は実に優秀なヘルパー能力を持っていることが判明した。私が私を雇えばいいのだ。時間給を払って。あははは私は高いよ。