思うこと

 私を育ててくれた母はなんでも作ってみる人でした。欲しいと思ったら材料を用意してジックリと考えて自分で再現してしまう能力に長けた人でした。だからわたしたちがなにか買ってとねだると、先ず作れないかを考えなさいと言われました。今思えば、父の給料ではこどもに何でも買い与える事は難しかったのかもしれません。服は母の手創り以外着たことは無く、お菓子もかってたべたのはガムとチョコレートくらいなものでした。ケーキ、クッキー、キャンデイ、おせんべいまで何でも創りました。今思えばなんてぜいたくなことだったのかとおもいますが、当時は小洒落たともだちの服装が羨ましくあこがれたものでした。
 やがて自分自身が母となった時、できる限り全てを手創りで育ててきてしまったのは、一つにはサラリーマンの給料で7人の子供を育てる厳しさと、『先ず作れないか考えて工夫する』事が身に染みているからでしょう。子供たちもまた『買う前につくれないか』を自然と実行しているようです。面白いなと思うのは、勉強と自分の制作しか頭に無かった蛙ちゃんがこのごろ、自分がいかに料理に目覚めたかを教えてくれる事です。この間中は野菜や果物でノンオイルのチップスを作ることに夢中になっていたようです。何年か前は編み物にハマって家族全員の頸を彼女のマフラーが締め上げていました。
 このごろ姫が色々こまこましたものを創りたい本能に目覚めつつあり、何に目覚めるのか楽しみです。消しゴムはんこにハマってくれると私も使い道があるので、待っているのですが。師匠はひところカミキリムシでしたが、彼女の場合は作品になってしまうので、できれ*ばクリスマスカードなど量産していただきたいのですが、今はデザインの仕事の締めが迫っているらしくアップル2台フル稼働です。
 私はもしかしたら、母から生きることを少し楽にする魔法を受け継いだのかもしれません。けっして器用ではないし、センスも洗練されてはいないのですが、楽しみをおすそ分けするくらいなら、ささやかにできるかと思います。
 リクエストが多いのでベレーを少しだけお見せしますね。嫁入りサキが決まっていて手元には残らない予定です。