少年少女たち

 SADEの対象は中学1年生から青年までです。思春期真っ只中の若い人たちを見守るという事はなんて嬉しい事なのだろうと感じました。それぞれ心に屈折した思いや複雑な人間関係や、偏りや、スムーズに育てない幼さや、手に余る人生の重さを抱えていても、これはこの子達だけが特別なのではなく、多かれ少なかれ人間の子は同じような問題を抱えている。人間の作る家庭というものは皆同じです。言わないだけ、表に出さないだけ、隠されているだけです。だけどみんな自分だけが重荷を背負っているのだと思っています。
 人間を信頼し、心を開き、自らをゆだねてゆくことはまだまだ難しいでしょう。小さな固い殻の中に心を隠して懸命に成長しようとしています。一人一人をハグするとき、その反応でこころの状態が感じ取れます。身をゆだねる子、抱き返す子、飛び込んでくる子。硬く身じろぎもしない子、身を引く子、じっと相手がなすがままに耐えている子、どの子も愛しいと思いました。ここにその子が背負っている親子の姿があります。
 親が親としての自信を失い、愛情をきちんと伝えられず、親もまた親として未熟でその補いをしているのが物であり、お金です。私たち親がマズそのことに気が付いて自分を鍛えなければ、育てなければ子供を受け入れる大きさの器にはなれないでしょう。どうしたら、親にそのことが分かってもらえるのかまた考え込んでしまいます。
 また一年たってこの子達をハグ出来たらいいなと思います。私自身も一年間かけて、自分を掘り下げ少しでも大きな器になりたいと願っています。親も成長していなければ、育つ子供たちを受け入れる事は出来ないのだから。