穏やかな人に

心を病む人が一人で生きていかざるを得ないのは、穏やかな人が少ないからかもしれない。何故みんな陽気でハイテンションで回転が速いのだろう。もう少しゆっくりと、騒々しい音を立てないでゆったりと出来ないのだろうか。そうすれば、少しくらいまどろっこしくても、小さな声でも、うつむいていてもイライラしないで待って上げられるのに。心病む人のペースでそっと傍らに一緒に立ち尽くす人が必要だと思う。生涯を通しては無理でもせめてイチニチノ何時間かは、せめて一時間でも、穏やかな人として寄り添いたい。
それは、まるで霞む眼で見つめ震える手で糸を通すようなものだけれど。