お祝い

 やっと親分が帰ってくるので今日は師匠の門出を祝福してお祝いをしよう。何だかいつもなにやらきっかけを見つけてはお祝いばかりやっている。子供が多い分、悲しみも、お祝いも人様のウチよりもきっと多いに違いない。特に師匠が、東京での修行生活に終わりを記して戻ってきたとき、自分がこれから何を果たして生きていったらいいのかと真剣に悩む姿を見ているから、ささやかでも自分の歩みを始めたことが嬉しくてならない。小さな歩みであっても誰に気兼ねもなく自分の心のままに生きて行けたらこれ以上の幸いはない。優しい子だから、きっとその場所にいることで満たしてゆくものがあるだろうと思う。
 「私はここにいます」と静に言える人であって欲しい。心理屋はそういう力を持った人を「存在職」と呼ぶ。カウンセラーの理想の姿だ。その人がそこにいるだけで、人々の間に安定が生まれる。存在そのものが機能なのだ。いつかそんな人に育っていけたらいいなあと愚かな親は夢を見る。いずれにしても生涯を通して学び続けていく事になる。