この言葉が言えない人へ

お元気だと思うからこの言葉が言える。元気であるはずがない人には言えない言葉だ。私の周りにはこの言葉を飲み込まなければならない人たちがたくさんいる。だから私はこの言葉を使わない。仕事で出会う人たちは、人生に裏切られたと思っている人、人生を奪われたと思っている人が多い。

　その人たちに寄り添って、もしくはともにそこにあって私が果さなければならない役割は、フランクルの言っている「意味」を、その人と一緒に見出すこと。

人生が何をもたらして私に生きる意味を求めているのかという視点から、考える。そして現実に即して自分自身の人生に生きる価値を見出すこと。無意味な時間を生きることや耐えることではない。自分がそこに生きている真実を見出すことができたら、もはや命は時間の長さではないと思うようになる。治療法のない病気であっても、それだけが問題として浮かび上がってくることはなくなる。それもまた人生の中の一つの出来事。