今できることは今やる

姫 久しぶりのブランコ

明日何があるかわからないから、今できることは今やっておこう。前倒しで何があっても大丈夫なように時間を回してゆこうとおもう。原稿と、講演を抱えているからその原稿を前倒しで仕上げておきたい。
 今月末にエンカウンターがある。七月には毎年の高校三年生を前にしての「命」の講話会がある。何本も原稿を用意しなければならないけれど、若い人に大切なことを伝える機会をいただくことはありがたい。私が生きていることが、だれかの役に立つことがあったらこんなにもうれしいことはないと思う。
 あなたがいて、私がいて響きあう事が出来て、新しい歌が生まれるならばこんなにうれしいkとはない。生きていくことにささやかな意味が感じられるならば、私は生まれてきたことにしあわせを感じる。たとえそれが自己満足といわれてもいい。生きてきたこと、生まれてきたことに喜びを感じること以上に幸せなことはないもの。
 いつか去ってゆく。自分の命の旅は終わる。寂しい風景がほんのりと色を帯びるとき,私の心の中に柔らかな光が降る。穏やかな風がそよぐ。人はいつも元気だったり、強かったり、喜んだりばかりはできない。疲れることも、悲しいことも、無気力な時もある。それでも一瞬の危機には凛として立つ。それでいいのだと思う。


 切なくもやさしい子供時代の記憶。立ち戻れるものならば、私は一度あの風景に立ち戻ってみたい。あの日々の中で私の魂は形作られた。孤独で寂しくて健気だった一人の私を見失わないように、大切に守って生きてきた。愚かな過ちも数多かったけれど、それにもまして善意にあふれていた私の子供時代。大人になるにしたがって、いつしか守りたいもの、守らねばならないものが増えて、あの純真さや善意は身をひそめた。それでも、心の奥深く土台になっているのはあの時、しっかりと身に染みた思いだ。いつか土に帰る時が来たら、私はあの土に根をおろし、深く深く根を下ろし命をはぐくむものとなりたい。