寒いけれど

手の上のゴン

光が満杯にあふれている。風が冷たいけれど、もうすぐ季節が変わる。春がすぐそこまでやってきているから、この冬の寒さに耐えてゆける。日本海側にはこのあふれる光のシャワーがない。重く垂れこめた灰色の雲が光を遮ってくる日も来る日も雪が舞う。太平洋側に住むことになったとき一番驚いたのはこのあふれる光のシャワーだった。心がかじかんで小さく固くなっていくのをほぐしてくれる。人間にやみは必要だ。光も必要だ。そのどちらが欠けても生きてゆくことがつらくなる。命というものは不思議なバランスの中で生きていく。いとおしくまたいたいけなもの。