クリスマス

 待降節はゆるゆるとこの一年の始末をする一か月のはずなのだけれど、気持ちの整理も、暮らしの整理もまだ何も完了してはいない。今年は震災後の室内修復工事はいったんお休みになったが、共用部分はまだぼちぼちやっているし、家の中はさっぱり整理されないままだ。震災後遺症とでも呼ぶのだろうが、かたずけを始めると、あの日の光景がふっと蘇ってきて突き上げてくるような虚脱感が襲ってくる。
 かたずけが引っ越しを連想するものならばサクサクと行くのになと思う。自分が無力だなあと感じる。クリスマスは子供のころから最大のイベントだった。サンタがやってきて自分の欲しかったものが枕元の靴下に入りきれなくて、普段は買ってもらうことのないチョコレートやキャラメルがみっしりと詰まったサンタブーツがあって、ああ、それはもう自分の誕生日どころの騒ぎではなかった。
 いつか自分もまた贈る側になり、そしてあれこれ思いを巡らせて。それは楽しいことだった。それなのにこの空虚感が始末できない。悲しみが心の奥深くに蜷局を巻いている。地部員が抱えきれないものを抱えているからだろうが、きちんと心の整理をしたいのにそれを拒むものがある。