仙台放送の作品

秋の近い空

 東北大学の川島先生が提唱している脳トレがある。アメリカの老人施設で6か月にわたって行われたケースを記録した映画。成年後見制度の講演会にセットされていた。てっきりアメリカの映画と思っていたらなんと地元民放の作品だった。
 何度教えても名前を忘れてしまうおばあちゃんたちに繰り返し自己紹介を続けるジョンが、六か月後に名前を呼んでもらえたとき、小学生みたいに会場から思わず拍手が起こった。胸にこみ上げてくるものがあった。
 やがて私もその道を行くのかもしれないが、認知症を抱え込んで生きるにしても、その道を行きっ放しではなく、引き返す可能性もあるのであれば、それは希望につながってゆく。そんな気持ちにさせてくれる映画だった。成年後見人制度は仕事に必要な知識なので講演を聞きに行ったのだけれど、本当はこの映画を見たくて出向いた。胸が暖かくなって戻ってきた。