この雨のこの風の

夏木立 夏枝 夏葉

 自然の猛威というけれど、天災というけれど痛ましくて気の毒でならない。今回もたくさんの命が失われてしまった。暮らしの場で、日常の中でいきなり土砂が襲ってくると、何が起こったのかはとっさにはわからない。なぜもっと早く逃げなかったのかという問いかけは、結果論でしかない。その場所が今回破壊されるとわかっていたらその場所にとどまりはしない。我が家の持つ安心感は、あの地震津波の時でさえ逃げ遅れた人たちがいたことからもわかる。ここにいさえすれば安心。よもやここまでは来ない。みなそう思ってとどまった。私たちだって、崩れ落ちる家にとどまった。たぶん、きっと大丈夫だから。外に飛び出して逃げる発想はなかった。だからこのニュースはとても悲しくつらい。