姫の卒業年度

玄関の開くのを待つ

 四年生の春から夏は胃の痛くなる季節だ。姫が卒業ということは就職か、さらに院に進むのかこれからの人生を、大きく変えてゆくことを決めるということになる。どうなるのかは全く予測がつかない。私が学生の頃とは状況が全く違っているから、私の経験はあまり役には立たない。見ているとキリキリと胃が痛みそう。
 親も老いているから、社会の盾になって守ってやる力はもうない。自力で生きる道を探っていかなければならない。転勤族の我が家は地縁も人脈も持たないで生きてきた。もちろんそれが作れない職業でもあった。親というものはなんと無力なものだろうか。ただ祈るのみ。
 自力で生きていける人間に成長してくれただろうか。しなやかに生きられているだろうか。大地に押さえつけられてもおれない強さを持っているだろうか。希望を見失わない、心の目は澄んでいるのだろうか。負けないでほしい。潰れないで欲しいと思うほどに現実は厳しい。
 アベノミクスと浮かれているほどに若者の就職状況も経済も良くはなっていない。参院選までの美味しい話だと思う。多くの若者達の現実を何とかしなければこの国はジリ貧のまま弱者ばかりが増えてゆくだろう。この挫折感を胸に刻まなければ生き延びることのできない今の若者の現状を、一体誰が真剣に語り、取り組んでいこうとしているのか。政治に対する眼は決して甘くはない。