散歩

 研修の合間に一時間の昼休みがあったので、研修施設の周辺を散策した。普段はあまり来ない道なので楽しかったが、ふとある病院の前に出た。そこはかつて担当して亡くなった方が最後を過ごした病院だった。萎縮して重なってしまった手足がエソを起こしてただれていた。そのまっ黒くなった部分をはがして薬を塗るたびに悲鳴をあげていた声が耳に残っている。私は処置の間カーテンの外でワーカーと打ち合わせをしていた。気がつけばもう三年以上前になる。何人の方を見送っただろうか。春うららの日差しの中でほろ苦く切なく思い出し祈った。