ひっきりなしの余震

カタカタと揺れると胃が縮み上がるのが判る。キリキリとしてきゅうっと痛む。夜寝ていてもかたかたくらいでも目が覚めて枕もとのラジオのスイッチを入れる。自分の被害が怖いのではない。叉津波が来たら今度は沿岸部はもう助からないとわかっているから。地盤がかなり下がって、最早津波を防ぐことは出来ない。
 もうこれ以上の悲しみが起きません様にと祈る。早朝の地震で目が覚め、一日何度か揺れて、今もお風呂に入っていたら叉大きく揺れた。裸のままでまずお風呂に一杯にお湯を張る。髪を手早く洗って身体も洗い上げた。大きな揺れが来て、ガスが止まり電気が止まり水が止まったらお風呂なんていつ入れるか判らないから、とにかくささっと洗ってパジャマを着た。
 意識して、努力して、冷静でなければ恐怖が勝ってしまう。いつまでこんな小さな恐怖は続くのだろうか。お風呂から上がったら先日お亡くなりになった吉本隆明氏の講演をやっていた。しみじみとした気持ちになりすっかり落ち着くことが出来た。若かったころの自分が震える心でこの人の言葉を幾度もかみ締めた。