停電

 いきなり停電した。このごろよくよくのことでもない限り停電しないからびっくりした。親分は状況調査に外へ出て行き、私はとっさにエレベーターに誰か閉じ込められていないかを調べに行った。お互い日頃の仕事がらみの発想だな。
 我が家は6階なので丁度建物の半分の高さに位置している。なんとエレベーターの底がかろうじて見える位置で一台が停止していた。管理者が飛んできて中に閉じ込められていないかの確認をしていた。やはり閉じ込めは怖い。外では消防車が来て火事と思った。午前中の避難訓練が終った直後。訓練に来た消防職員たちが出動してきていた。住民の中には午前の続きで、抜き打ちの訓練だと思った人もいて「訓練は予告してくれなきゃ困る」まさか、本物だってば。戻ってきた親分によれば、丁度団地の高圧引込み線の側に大きなケヤキの木があって、枝が触れて発火したらしく、消防に通報が行ったそうな。この街は街路樹が綺麗なトンネルになって日差しをさえぎってくれている。イチョウケヤキユリノキプラタナスなど枝を伸ばして電線に触れているのをよく見かけるけれど、これはやはり危ないなと思った。そしてオール電化は困るだろうなとも思った。殆ど何も使わなくてもすむこの季節でも、PCも電話も止まり、トイレも温水が出ないし、湯沸かし器もお湯が出ない。台所の換気扇も回らないし、第一トイレも真っ暗。冷蔵庫も冷凍庫もアウト。それでもガスが使えたからお昼ご飯を作ることが出来たけれど。レンジも湯沸しポットも駄目でお鍋がフル活躍した。冷凍食品の解凍も出来なかった。すぐ復旧したので支障は無いが、これが大地震なら何日もライフラインは停止する。水もポンプで上に上げている分が無くなればおしまい。意義深い非常訓練の一日となった。駐車場の出口が消防車でふさがれてしまったので、離れたところにjiji車の駐車場を借りてあってよかったとも思った。思いがけないことがいろいろあったな。