人の優しさ

 「誰かに与えるるためには自分もまた受ける人でなければならない。与えるばかりでは人は空っぽになってしまうよ。」「人の優しさを受ける立場になってしか感じることのできない痛みがある」昔々シスター・パスカルに言われた。その時は何のことかよく理解できなかったが、今、心からその言葉の意味が分かる。ケアするものは自分もまたケアされるものとしての体験を持たなければ真の支え手にはなれない。受ける時、人はゆだねることを知り、相手に信頼を寄せることを知る。その感覚が分からなければ差し伸べた手は受ける人の心に触れることは出来ない。自分にエネルギーがある時は相手にどんな強い刺激を与えているかは考えが及ばない。弱っている人に手加減できるノウハウは自分自身が受ける立場になって初めて知りうることだ。