私のために何がしたいか

 サア、私のために出来ることを楽しもう。
 色んな歌を歌えるようになりたいと思った。聞かせるためにというよりも自分が歌いたいから。一人でもいい。心を解放できたらいいな。
 絵を描きたい。またスケッチブックを持って散歩しながら小さな絵を描きたい。自分が美しいと思うものを自分の手で作り出せたなら嬉しいなと思う。目が、見えるうちにやっておきたいと願う。
 本を読んでおきたい。文字が読めるうちに自分の好きなものは録音しておこうかとも思った。
 聖書の音読を録り貯めておこうかとも思った。やがて見えなくなるにしてもいたずらにその時を待つよりは朗読テープをもっていれば自分で思い出しながら聞くことが出来る。好きな本は最低限音でとっておこうかと思っている。
 旅に出たい。体中で感じ取りたい。行くのは風の流れる場所。雲と空を感じられる場所。木々の気配がある場所。魂が帰ってゆく場所に近づきたい。霊場というものではなく、自然の懐近く。
 美味しいものを作りたい。素朴で手間隙かかってそしてほっこりと美味しいもの。
 これからの人生は自分の感性を生かした時間を多くもちたい。誰のためでもない。自分の喜びの為にわたしは生きてみたい。ほんのわずかな時間であっても、それは私の神への感謝の祈りの時間になるだろう。神に感謝する時間の余りにも少ない日常。嘆き、悲しみ、怒りに彩られ神が私に命を与えてくださったことに感謝することの少なかった人生。これでは生きた甲斐がないではないか。懸命に生きることは尊い、同じように深く喜びの中で祈ることも尊い。やっとこの年になってそこにたどり着くことが出来たのはありがたいことだ。