夜中

修道院の中庭

 ドドーンという音がして跳ね起きた。さして広くもない、しかし奇妙なつくりのこの家は廊下を走るという感覚になるからおかしい。リビングのドアを開けて「何があったの」と聞いたら彼はTVのリモコンを片手に「へっ?」と振り向いた。彼は何の音も聞かなかったという。私はてっきり彼が倒れたと思った。親が脳梗塞で倒れているから潜在的に恐怖が刷り込まれているらしい。それからしばらく眠れなかった。朝が来て調べてみたら私が寝ている部屋の隣が大将の部屋(になる予定だが、未だ引っ越してこないので臨時の食堂兼荷物置き場になっている)の荷物が一列崩れた音だったらしい。階下に申し訳なかった。さぞや驚かれただろう。こういう時社宅なら次の日すっ飛んで行ってお詫びするが、ここでは部屋の規格がまちまちで自分の下が何号室かさえ分からない。お詫びのしようもない。困ったなあ・・・