めそめそしてても仕方がないから

薬屋さん

 仕事があるってありがたいことだ。あいにく風邪気味で夜になるとお風呂に入ってそそくさと寝てしまうが、日中は気がかりな方たちの方に気持ちが向くからまだ助かる。今日は丘陵地帯にお住まいの方の訪問日。森がそばにあってこずえのどこかに鳥達が巣を作っているらしく風と雪の中でさえずる声が響きじっと見つけていると、自分が時間も忘れて森の生き物になったような気がする。チャイムを鳴らしてもなかなかあけてもらえないかたなので寒さの中でじっと待っているのだけれど私はこの時間が大好きだ。運がよければカモシカを見ることさえできるのだから。
 街は明日の「どんと祭」に向けての準備でそわそわしている。赤わらやちょっとした空き地にも『臨時駐車場』の立て札が立てられて一晩中参拝客でごった返すこの街の小正月行事。今年はウィークデイなのでとても遊びに行くことはできない。気温も低いし・・・
 裸参りで圧巻なのは盛岡の裸参り。あの身が切れるような極寒の中裸になって静々と行列が進むと自分までもきりりと引き締まった気持ちになる。寒中参りは命がけだと思った。まして吹雪の中を行く姿は荘厳でさえある。手を合わせたくなった。この街はそれに比べたら幾ら寒いとは行ってもまだまだ人間の範疇。神々しさまでは行かない。