引越しのための準備第一日目

明日館講堂

 大将と姫。同居メンバーが始めて鍵を開けて中に入った。各部屋を細かく採寸してカーペットやカーテンのサイズを決めてゆく。ここに定住する気持ちは無いが自分たちらしく住まいを作りたい気持ちは強い。
 定住する気持ちがないと言うことは余り大物を買い込んだり荷物を増やさないと言うこと。転勤の続きと思えばよいのかも知れない。自分の持ち家があるので、仮の住まいと言う感覚は今の生活が完璧でなくても満足できる線を見出せるものだ。今後数年たったら、あの家に戻れる。そこで自分達の暮らしを楽しんでいこう。今はそれが出来なくても致し方ない。出来る限りのことをやろう。 ふと思う。世の中の多くの人はこうやって自分達の生活を作っていくのだなあ。流れてゆくこともこの次どこに飛ばされてゆくかも心配せずに自分の都合だけで生きてゆけるのだなあ。初めての感覚。住む町も、住む家も自分で決められるってなんていいことなのだろうか。人生の殆どを他者の意向で決められてきたことを思うと限りない自由を感じる。