ケンタッキー

 思いがけず買ってしまった。「クリスピー本日のみ100円」につられた。あーうーまあいいか。このところカロリー計算に疲れを感じる。ご自分でどうぞと思う。私の制止など聞こえないかのごとく食後にまた食べ始めるのを見ていい加減にしろよと思うのである。きっちりと残らないように計算して作ってそれでもなおどこかから袋を破る音がすると「待って。なに食べてるの」と制止してしまう。これはお互いの関係をひどく損ねる。いちいち監視しているのかとご立腹なるも「その通り。監視しているのです」と答ざるを得ない。
 もし単身赴任をしたらこの人の食生活はどうなるのだろうか。袋を開けるその前に私の声が聞こえるとは限らない。「ああ・・・食べちゃった。そういえば麦はこんなときうるさかったよなあ」くらいに思い出してくれるか若しくは、「昔は面倒だったなあ」で終わるか。私は彼の食生活が不安でならない。
 だから物凄くストレスがかかって、おまけに低カロリー食のフラストレーションがたまりにたまっているのだろう。禁止されれば手を出したくなるのは物の道理で思わずケンタッキー。
 しかし、注文をする段になって理性を取り戻しポテトはつけなかった。姫ががっかりするだろうけれどそれは踏みとどまった。親分が食べられないものを食卓に乗せるわけには行かないのだ。今夜は山盛りのサラダと野菜スープをつける。それで何とかカロリーを調整する。病院ではご飯をたくさん食べておかずでカロリーを減らすという指導を受けた。ご飯は低カロリーでおなかに優しい優良食品である。