姫と三人で

 銀禅で呑んだ。もちろん姫はコーラとお茶。こあがりできちんとしたお接待をされることは高校生にとっては初めての体験。お料理もおいしかったが雰囲気もよかった。最も金曜の夜は大人の遊ぶ日なので、酔った声も廊下には響いているがこれが社会というものだ。我が家では酔っ払って大声を上げることが皆無なので姫は酔っ払いを体験したことがない。どんな感想を持ったのだろうか。
 今夜は親と違う視点で高校生活を話し合ってみたかった。私はとことん進学以外何もない学校生活だった。その中で見切りを付けて自分で戦争の中で虐待を受け殺されていった十代の記録を集めて分析することを始めたので教室の中の苛めや非行に首を突っ込む時間がなかった。一人で孤児院でボランテイアも始めたので教室の世界はとても幼い世界に見えた。私のこんな高校生活は今苦しんでいる姫の支えにはならない。パンダ姉は、私の知らない姫の生活に近い感覚を持っているから二人はよく理解し合えると思った。話を聞いていて私も色々気づくことができた。もしおかあちゃんが生きていたら私とおかあちゃんはこんな風に飲み交わしただろうなと思った。
 世間的に言えば嫁と姑がお互いに本音で語り合えることは嬉しいことなのだし、有り難いことなのだと思う。