考えてみて欲しい

誰にでも老いは平等にやってくる。徳高くあろうと、善人であろうと、必要とされていても、孤独であっても、たとえ悪党と呼ばれる人であっても。老いと死は誰をも除外はしない。夜が静かに降りてくるように老いはひっそりとしかし確実にやってくる。
 私は毎日、老いた人、心病む人と関わっている。其処で改めて思うのは「私もまたこの道を行く」のだという避けることの出来ない定めだ。
 私はどんな姿でこの道を歩んでゆきたいのか。現役で何とか自立を貫いて歩きとおせれば良し、何も出来なくなって人の世話になってなされるがままに日を送るもまた良し、晴れたり曇ったり混乱しながら葛藤を撒き散らして最後を迎えるならばそれもまた良し。私たちは自分がどの姿で最後の旅をするのか選ぶことは出来ないのだ。だからどの道を歩くことになっても当たり外れはない。皆良しなのだ。
 自分の出来る事を出来る時間を大切に生きてゆこうと思う。なんでもないことが一番尊い。なんでもないことの中に最良が隠されている。