まま

 認知症が進みつつある様子がわかる。本来隠すべきなのかもしれないが、私は子供たちや私の大切な人たちにもありのままの姿を知っておいて貰いたいと願う。あの何でも出来て、はつらつとしてターシャのようだったママがどんどん童還りをしてゆく。それでも変わらず誇り高く強い私たちのママだ。寧ろそれが大変なこともあるのだけれど・・・。それが無くなったらママではなくなってしまうような気もしている。何時か私も同じ道を行くのだろう。そう思うとママが私に私の子供たちに身を以って大切なことを教えてくれているように感じる。私はママと一緒に暮らした時間は生まれて直ぐの6ヶ月と学生時代の一年しかない。私は自分がママの記憶にどこまで残っているのか時々不安に思うときがある。私は認知してもらえるのだろうか。それでも時々ママが『☆チャン?オカアサンデスヨ』と電話をくれると涙が出る。母は私をまだ覚えていてくれる。ありがたい。それなのに私は今母のそばに暮らすことは出来ない。親分の怪我はまだ治っていないし、姫も受験の最中だ。いつの日にか私が母のそばでひと時をすごすことがきっとできるようになるときが来ると思って今自分の果たすべきことを静かに果たしてゆこうと思う。kちゃんが時々近況を知らせてくれるのがとても嬉しい。