底抜けの青空

 全くの青空。ただし風が強いから雲がちぎれて走ってゆく。コレはすごい空だ。今日は今年最後の面接カウンセリングの日。クライエントさんとこの半年の振り返りと今後の方針を話し合う。リストカットがなくなり、溜め込んだ薬を大量服薬する事が無くなった。たった6ヶ月でココまで来るとは思えなかっただけに、クライエントさんの立ち直りに掛ける覚悟に敬服する。
 人は生きようと覚悟を決めると、自分の力で歩み始める。立ち直りたいと願う力はカウンセラーが与えているのではない。患者さん本人が自分の心から汲出しているのだ。カウンセラーは時々起きる混乱や認知のゆがみを訂正する手助けをしているに過ぎない。ただ、人は一人では出せる力も出せないから、立ち直りの旅の同行者として私は一緒に歩いている。私もまた弱い自分と出会い、現実の辛さから逃げたくなる自分を踏みとどまらせ、私もまた同じ痛みを体験する。共感は同情ではない。同じ痛みが私にもあるから、相手の混乱が良く分かる。相手もまた哀れみを受けているとは思わない。人が人に寄り添うという事は案外単純な事なのだと思う。