マフラー

 今年はマフラーを編みこんでいます。今日も片手間に一つ編み上げました。これで6本編み上げました。みなプレゼント用です。まだ何人か待っている人がいるのでまたせっせと編みあげます。それとベレー帽を編んでいます。冬は優しい気持ちになりたいから毛糸を触っていたいのです。毛糸を触っていると、少女の日、編み物をしている母のそばでくず糸を毛糸球にしてもらって、鈎針でマフラーやミトンを編んだ事を思い出します。
 膝の上にホームズやエラリー・クイーンアガサ・クリスティを広げて目は活字を追いながら手は忙しく編み物をしていたことを、懐かしく思い出します。いつも本を読みながら手を動かしていました。ジッとすわっていることはなかったように思います。いまも手仕事をしながらTVを見たりしています。早稲田の理工学部に機動隊が突入してバリストが破られたときも、凶器になりそうな30cm長さの12号の金属製の編み棒を持って高田馬場をうろうろしていました。勿論編みかけのショールと一緒ですが。
 編み物で思い出すのは『二都物語』で広場にしつらえたギロチンで頸が落とされるたびに最前列に座って編み物をしている女達が「ひとーつ」と数えるというシーンです。なんともリアルでゾクッとしました。