明るさの向こうに



明るさの向こうに
闇があってその闇の向こうに
ハンドルのない窓があって


言葉は光を纏っているはずだったのに
言葉が闇を引連れ  闇は刃を隠す



明るさに慣れた眼には
闇に抱かれた刃は見えない



無邪気に差し出した手を貫き 
胸を切り裂いたものの正体を

とうとうあの子は知らなかった
ほんの少し驚いて
ふっと小さく息を吐いて

明るさの向こうに
飛んでいってしまった