去年

引っ越して直ぐうぐいすが窓の側で啼き始めた。まだ歌とまでは行かず、啼いているけど「へたっぴい」だと笑ってしまうようなたどたどしさだった。夏に向かうにつれてだんだんうぐいすらしくなり、初夏の頃には番になって直ぐ側の枝に止まって啼いてくれた。まるで亡くなった息子が、私たちに元気をくれているようで慰められてすごした。今年は春が来ても啼かないので「今年は下草刈りをしたからこないのかもしれないね」と半ばあきらめていた。今朝、聞きなれたあの歌が聞こえた。親分と思わず「来たネエ」と喜んだ。こんなささやかな事さえも、心の支えになっていたのかと改めて思った。