小雪が待っています。

 お日様が出ていると、車の中はまるで春のようなのに、外に出ると風は刺すようにつめたい。小雪がちらちらと舞っている。まだ冬なんだとおもう。それでもじっと見ると梢がほんのりと色づいている。もう春の木の芽が準備されているのだ。季節はいつもひっそりと変化し、片時もその進みを止めない。ある一瞬の変容が鮮やかに見えるための気の遠くなるような緻密な作業。人間もまた、自分では認識しないけれどこの変化の中に自らの時間を過ごしている。トシを重ねる事を恥じてはいけないのだとふっと思った。齢を重ねて今のこの自分が在る。何故それを恥じるのだろうか。自分の年齢を大切に重ねてゆくつもり。面接中の師匠を待ちながら、校庭の桜の木の下でそんな事を思っていた。良き時間を生きてゆきたいものだよね。