ランドセル

Yさんの日記に素敵なランドセルが載っていた。うっとりと眺めてしまった。今まで忘れていた事を思い出した。福島にいた時のこと。一年生になるギュダ君は、明るいブルーを欲しがった。転校する事を考えて、みんなが目立たない色にしたらといった。彼はしぶしぶ妥協して、最大限譲歩して、紺色を選んだ。藍色に近い濃紺でやっぱりそれでも目立ったけれど、彼は気に入って大切に背負っていた。その時、私はたとえどんな色でも子供が欲しがるものにしようと思った。
 盛岡で一年生になった姫様は、明るいピンクを選んだ。たった一人だったけれど、今度は誰も反対しなかった。夕暮れでも明るいピンクはことのほか目立った。集団でもどこにいるのか直ぐに分かって便利だった。JIJIがランドセルを買ってくれた。最後の贈り物となった。私にとってランドセルは、胸にキュンと響きを残す。使い終わったランドセルは必要な人にお下がりした。今頃誰かと一緒にまた小学校に通っているかもしれない。